ネコ冒険物語

物語・作曲 おおたけ こうじ

 エッヘン!我が輩はネコである。
名前は・・・あるよ。まぁ、名前はどうでもいいや。いやいや「どうでもいいや」っていう名前じゃないよ。
う―ん、難しいなぁ。ま、この際だ。きちんと名乗るとするか。
おいらの名前は「おいっ」ていうんだ。なんか変かい?だってご主人様はおいらを呼ぶとき
「おいっ、こっちこいや」って・・。探しに来るときだって
「お―いっ、どこにいるんだぁ」って大きな声でやって来る。だから名前は「おいっ」ってことでいいんじゃないかな?
そういえば、この前かわいい女の子がおいらの頭をなでながら
「この子なんていうお名前なんですか?」ってご主人様に聞いたとき、ご主人様はなんか長い名前・・・確か・・・
「イタリアン・ブル―・キャット」だったかな・・。いつからそんな長い名前になったんだか。
 そんなおいらの趣味は冒険さ。今日はおいらの取って置きの冒険をお話しよう。



 ある日のことだ。近所の子供たちがシャボン玉で遊んでいた。おいらきれいだなって・・・。
ふと気が付くと割れたシャボン玉からビスケットが落ちてきて子供たちがおいしそうに食べてるじゃないか。おいらぶったまげたね。
そのときだ。おいらの鼻先にふわふわ飛んできたシャボン玉が割れたんだ。そしたら中から元気良くちっちゃな魚が飛び出してきた。そいつ草むらの中をチョロチョロと・・。もう必死で追っかけたよ。
気が付いたら水の中だった。水ん中ってのは気持ちいいもんだねぇ。おいら魚のことなんかすっかり忘れて泳いだよ。スィ―ッスィ―ッてね。



 気持ち良―く泳いでたとき、岩陰から突然赤いものがにょろにょろっと出てきておいらのことをペシッてたたきやがった。
んにゃろ、っと思ってそっちを見ると真っ赤な顔をしたタコがた―くさんの足をゆ―らゆらとさせながら睨んでいた。
「おめぇ、ネコのくせに俺様の海で何してんだ。」
「んなもん、おいらの勝手だろっ!」おいらは頭に来てつめというつめを全部出してタコに噛み付いた。



 最後の一撃!と手を振り上げたそのとき、タコの野郎、傷だらけの足を次から次へと合わせて
「す、すまんかった。これをやるから勘弁してくれや。」と言ってタコつぼを出してきた。
「んにゃろめ、おめぇ、命とタコつぼとどっちが・・・まぁ、いいや。」おいらはそのタコつぼを小脇に抱えると悠然と丘に上がった。
タコつぼをのぞくと、ん?何かあるぞ?
中から出てきたのは大きな風船だ。みるみるふくらんでタコつぼがふわふわと浮き始めた。おいらあわてて飛びついてタコつぼの中によいしょって入った。
いやぁ、おいら好みの狭さだ。おいらはタコつぼからちょこんと顔を出して空の旅を楽しんだよ。



 なんかおしりに触る気がしてそれを取り出してみると、それは大きな傘だった。なかなか立派な傘だ。
雨は降ってなかったけど、おいらは好奇心を押さえられなくってその傘を開いてみた。
そのときだ、「パ―ン!」と大きな音がして風船が割れてしまった。
おいらはタコつぼもろともまっ逆さまに・・・、とはならなかった。
タコつぼはスポッと落ちていってしまったけど、おいらは傘につかまっていたお陰でふわふわと降りてったんだ。
これはこれでなかなか気持ち良いもんだ。



 降りてくるとちょうどご主人様の家の屋根だったよ。よいしょって屋根に降りると風がぶゅ―っと吹いて傘は飛んでいってしまった。
そんなこんなで、まぁ無事に帰って来れたんだ。どうだい、おいらの冒険はすごいだろ。
まだあるよ。あれはね、雨の降る寒―い日だった。近くの森から大きなカラスの・・・。
 おやっ?どうやらご主人様が呼んでるみたいだ。聞こえるかい?ほらっ。「お―いっ、どこにいるんだぁ。」
 じゃ、この冒険話の続きはまた今度。またね。

--終--
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